以下で「糖質制限とは?」を簡単にまとめました。
三大栄養素の一つである糖質は、他の2つ、脂質やたんぱく質とくらべて、脂肪として蓄えられやすいのです。言い換えれば、糖質は太りやすい。糖質制限とは、
太りやすい糖質は控える
脂質やたんぱく質を、量を制限せずに食べて満足する。
ことでした。
ではなぜ、糖質を控えて脂質やたんぱく質を取るとやせるのでしょうか。
もう少し詳しく、糖質制限でやせる理由をまとめてみました。
足りないブドウ糖を作りだすから
糖質は消化されて、ブドウ糖になります。
そしてブドウ糖は、赤血球の唯一のエネルギー源。人間にとって絶対必要なものです。
赤血球とは血の成分で、肺から取り入れた酸素を全身に運び、全身から二酸化炭素を肺に戻す役割を持っています。
しかしブドウ糖は、脂質、たんぱく質から作ることができます。だから糖質は取らなくてもよい栄養素です。
そのブドウ糖ですが、肝臓や筋肉などに少し貯めておけます。だからブドウ糖が足りなくなっても、貯まっている分があれば、それを使います。しかし貯められたブドウ糖が空になると、脂質、たんぱく質からブドウ糖を作り始めます。
脂質、たんぱく質 ⇒ ブドウ糖
上記が体の中で行われることを、
糖新生
といいます。
ですので、人間に必要なブドウ糖は、糖質を食べなくても常に必要なだけ体に存在し、困ることがないのです。
糖質を控えていると、体を動かすエネルギーとして脂質やたんぱく質が使われています。そしてさらに、ブドウ糖が足りなくなるため、脂質やたんぱく質からブドウ糖が作られます。ただし、
ブドウ糖を作るためにはエネルギーが必要
で、ブドウ糖が足りない状況では、脂質やたんぱく質のエネルギーをつかって作られます。
糖質制限中は、脂質やたんぱく質には、もともとの「体を動かすこと」や「体を作る部品」といった役割に加えて、
ブドウ糖を作ること + ブドウ糖になること
が追加され、仕事が増えるのです。
この追加された仕事をするためのエネルギーが、糖質制限を続け、体内にためておけるブドウ糖が空の間、ずっと必要なのです。
だから、糖質制限を続けている間は、
エネルギーを追加で消費
し、痩せやすく(蓄えにくく)なります。
どんどん脂が利用されるから
体の中にブドウ糖がたくさんある間は、ブドウ糖をエネルギーとして利用します。
しかし、ブドウ糖が少なくなってくると、体の中にはブドウ糖しかエネルギーに出来ない赤血球がいるので、他の細胞は貴重なブドウ糖を節約するため、その他のエネルギーを積極的に利用するようになります。
ブドウ糖以外のエネルギー → 主に脂質
です。具体的には、脂質には脂肪酸という物質があり、脂肪酸がエネルギーとなって体を動かします。体や心臓などを動かす筋肉など、脂肪酸で動くようになります。
糖質を制限すると、脂肪が燃えだす
のです。
ただし、困ったことがあります。筋肉などがエネルギーにできる脂肪酸ですが、
脳は脂肪酸をエネルギーにできない
のです。
「頭が回らない、糖分が不足している、チョコを食べよう!」など言ったりしますが、糖質制限をしていると、その糖分由来のブドウ糖が不足していて、少ない状況です。
でも、問題ありません。そのようなときには同じく脂質の脂肪酸から、
脳でも使えるエネルギー源:ケトン体
と言う物質が作られます。ケトン体は肝臓で作られて脳だけではなく身体中で使われます。また、脂肪酸は脂質ですので水に溶けず、体にとって多少使いづらいのですが、ケトン体はブドウ糖同様に水に溶け、血液に混ざって全身に運ばれて、手軽にエネルギーとして使われます(ただし、赤血球は使えません)。
このように体に必要とされるすべてのエネルギーは、糖質を制限していても、脂質で完全に代わりをすることが出来ます。
ケトン体ですが、ブドウ糖が足りない時にはどんどん作られて血液中に増えていきます。そうすると、濃くなりすぎて血液のバランスが崩れないよう、腎臓で濾されて排出されてしまいます。
ブドウ糖の場合は濃くなる(血糖値が高くなる)と脂肪として蓄えられますが、ケトン体はもったいないですが、排出されてしまうのです。
そして、そのケトン体を作るには、脂質、たんぱく質からブドウ糖を作るときと同じく、追加のエネルギーを使います。
だから脂質には、もともとの「体を動かすこと」や「体を作る部品」といった役割に加えて、
ケトン体を作ること + ケトン体になること
が追加されます、さらに
一部のケトン体は使わずに捨てられる
のです。
この追加された仕事と排出されるケトン体のエネルギーが、糖質制限を続けている間、ずっと必要です。
だから、糖質制限を続けている間は、
エネルギーを追加で消費
します。また、ブドウ糖が足りていないため、脂質の本来の役割のひとつ「体を動かすこと」でも積極利用され、
脂肪がどんどん燃える(利用される)
のです。
食事で熱が発生するから
食事を摂ると体温が上がります。食べ物を咀嚼し、胃や腸が一生懸命消化し、分解した栄養素を吸収し、体の各細胞が使います。その各過程で熱が発生し、この熱が発生することを「食事誘発性熱産生(DIT)」といいます。
この食事誘発性熱産生で発生する熱でどのくらいエネルギーを消費するかは、糖質、脂質、たんぱく質で異なります。
摂取したエネルギーのうち、糖質は6%、脂質は5%です。そして、
たんぱく質は摂取エネルギーの30%も熱に
します。たんぱく質は体を維持していく上で極めて重要な栄養素で、消化、吸収、利用にも手間がかかり、その分多くの熱が発生するのです。糖質、脂質は大差ありませんが、たんぱく質は熱として多くのエネルギーを消費するのです。
糖質制限では、糖質の代わりに脂質、たんぱく質を食べます。食べる量は制限しないので、自然と脂質、たんぱく質を食べる量が多くなります。そして、
たんぱく質は熱としてエネルギーを消費しやすい
ので、糖質では余って脂肪になって蓄えられていた
エネルギーが脂肪にならず熱に
なって外部に発散される結果になります。
腹持ちが良いから
糖質制限では、糖質の代わりのエネルギーとして脂質、たんぱく質を多く食べ、食べる量を意識しなくて良いと言われます。しかし実際には、食べ過ぎれば、
脂質もたんぱく質も、脂肪として蓄えられる
のです。人間の体は単純ではなく計算通りには行きませんが、
「摂取エネルギー > 消費エネルギー」 = 太る
はある程度、成り立つのです。では、なぜ糖質制限では食べる量を意識しなくてよい、のでしょうか。
結論から言えば、
糖質と比べ、脂質、たんぱく質は少ない量で満足
するからです。脂質、たんぱく質は、そんなに量を食べられないのです。それは逆に言うと、
糖質は食べ過ぎる
ということ。理屈ではなく感覚としても、わかるような気がしませんか?
糖質は、きれいな糖質(ジュース、缶コーヒーやきれいな白ごはん、うどんなど)であればあるほど速やかにエネルギーになり、一気に蓄えられます。そしてすぐお腹が空き、次の食事を求めるのです。
単純な話で、たんぱく質や脂質が多い場合は胃腸に滞留する時間がながく、消化に時間がかかります。自然と胃腸で渋滞し、人間の本能としてのストップ、
脂質、たんぱく質による満腹感をはやく感じる
ことで、食欲に対する「満足」を感じるのです。重要なのが「満足」を感じること。食事に対する満足で、ダイエット中に特に問題となるのは、
食べたいけど我慢する
ことではないでしょうか。ですが、脂質、たんぱく質によって少ない量で満足できるとは、我慢せずとも
「摂取エネルギー < 消費エネルギー」 = 痩せる
になりやすいということです。脂質、たんぱく質中心に食事を摂る糖質制限は、人間の仕組みとして
食欲を我慢しなくても痩せる
ような方向性になっていて、本能に対抗して食欲を我慢する!などの、
努力、根性といった精神論が無い
ダイエットです。多くの人が、
やりやすい、続けやすい
と感じているのはこういった理由からです。